JCAS:TOPページ > 地域研究イベント情報 > その他 > 科研プロジェクト「脱植民地化の双方向的歴史過程における『植民地責任』の研究」東京外国語大学植民地主義研究会主催 永原陽子編『「植民地責任」論』書評会
主催・共催・その他 | 主催:科研プロジェクト「脱植民地化の双方向的歴史過程における『植民地責任』の研究」(代表:永原陽子)
東京外国語大学植民地主義研究会 |
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種類 | その他 |
対象分野 | - |
対象地域 | - |
開催地方 | 関東 |
開催場所(詳細) | 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所3 階大会議室(303) |
開催時期 | 2009 年 07 月 18 日 14 時 00 分 から 2009 年 07 月 18 日 00 時 00 分 まで |
プログラム | 評者:
李孝徳(東京外国語大学、ポストコロニアル研究) 菊池恵介(フランス歴史哲学、社会思想史) 矢野久(慶應義塾大学、ドイツ社会史) 司会:中野敏男(東京外国語大学、社会理論・社会思想) |
概要 | 朝鮮の植民地化に画期をなす「韓国併合」から100 年を目前にして、いまの日本でいったいどれほどの人々にこの記憶の年を迎える心根が共有されているかと考えると、はなはだ心許ない思いを禁じることができません。そんな状況は、「記憶と証言の時代」と呼ばれた1990 年代と比べてもかなり深刻な後退を見せていて、何ら解決に至っていない「慰安婦」問題をもう終焉しているかのように語る言説の蔓延を始め、植民地主義の歴史と責任を出来る限り見ないですり抜けようという気分の広がりは、精神の荒廃のある極みを示しているとさえ感じられるまでになっています。
このような日本の状況は、歴史の再審に動く世界を思うと、やるせない隔絶すら感じさせる事態です。例えば、2001年の夏に開かれたダーバン会議が過去数世紀にわたる奴隷制、植民地支配を世界史的な問いとして問題化したことを、この国ではいったいどれほどの重さで受け止めようとしてきているのか。ベルリンの壁が崩壊したのち噴出するようになったと平板に説明されることの多い各地の「民族紛争」に関しても、その背後にある植民地責任の問題をどれほどの痛覚で受け止めてきているのか。こんな所に露呈する歴史と責任への無感覚は、政治文化のレベルだけでなく、人文・歴史・社会諸科学に携わる者においてなお深刻であると認めねばならない状況があります。 そんな中、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「『植民地責任』論からみる脱植民地化の比較歴史学的研究」(および同名の科学研究費プロジェクト)の成果として、永原陽子編『「植民地責任」論――脱植民地化の比較史』(青木書店)が出版されました。この仕事は、「脱植民地化の比較史」という場を据えて硬直した既存の世界史感覚を鋭く問い糾すと同時に、「植民地責任」という新しい認識枠をもって政治的な植民地支配の時期に限定されない植民地主義の広い責任の射程を問う、鮮明な問題革新の書として重要なものと思われます。 そこでこのたび、昨年6月に出版された論集『歴史と責任』の執筆者が中心となって、この『「植民地責任」論』を書評し、それを出発点に「植民地」とその歴史をめぐる認識を精査し合い、植民地主義の責任を問う議論の場を更に広く開いていく、そのような討議の機会を設けたいと考えました。『歴史と責任』という書物は、日本軍「慰安婦」問題をあらためて主題化し、世界中で迫害と暴力の歴史を見直しその責任を問いだした1990 年代の総括を広く呼びかけたものであり、正義と真実の立場から植民地主義を根底から問い、その責任を明らかにする歩みを前進させようという編集企図は、新著『「植民地責任」論』の企図と大きく重なると考えられるからです。 この書評会では、討議の口火を切る評者として李孝徳さん、菊池恵介さん、矢野久さんの3 人をお迎えし、『「植民地責任」論』の執筆者たちも加わって、「植民地責任」という新しい問いの可能性をめぐる議論をさらに深めたいと思います。 それを通じて植民地主義を問う認識と感覚を相互に研ぎ澄していく、そんな場を多くの方々と広く共有することが、いまとても重要だと考えます。みなさまがご参集くださいますよう、ご案内もうしあげます。 |
参加費 | - |
対象 | - |
言語 | 日本語 |
連絡先 | 東京外国語大学:
永原陽子研究室E-mail: yoko@aa.tufs.ac.jp 金富子研究室E-mail: hanul27@tufs.ac.jp 大川正彦研究室E-mail: okawa@tufs.ac.jp |
URL | http://www.tufs.ac.jp/info/events.html |
その他 | - |