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みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> 『シリアの花嫁』

主催・共催・その他 主 催:国立民族学博物館
種類 その他
対象分野 政治・経済・法律,国際関係,社会・文化(宗教,民族,ジェンダー,移民),歴史・地理・建築,戦争・平和・災害・開発
対象地域 中東・南アジア
開催地方 近畿
開催場所(詳細) 場 所:国立民族学博物館 講堂
開催時期 2010 年 05 月 22 日 13 時 30 分 から 2010 年 05 月 22 日 16 時 00 分 まで
プログラム 「シリアの花嫁」 The Syrian Bride
(2004年/イスラエル=フランス=ドイツ合作/97分)
アラビア語・ヘブライ語・英語・ロシア語・フランス語/日本語字幕つき

【監督】エラン・リクリス
【出演】ヒアム・アッバス マクラム・ J・フーリ クララ・フーリ
【解説】錦田愛子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・助教)
    陳 天璽(国立民族学博物館先端人類科学研究部・准教授)
[映画解説]
モントリオール映画祭でグランプリを含む4冠に輝くなど、世界中で絶賛された普遍的な愛の物語。元々はシリア領であったが、現在はイスラエルの占領下に置かれたゴラン高原のとある村から、シリアへと嫁いでゆく花嫁と、彼女を祝福するため久々に勢揃いした崩壊寸前の家族の、悲喜こもごもの一日を追う。67年の第3次中東戦争以来、新たに引かれた軍事境界線。そこを越えてシリア側に嫁いだが最後、花嫁は二度と家族のもとに帰れないという、あまりにも理不尽な現実が、幸福感に満たされるはずの結婚式当日を、より劇的でかけがえのない時間へと変貌させる。融通の利かない国連や警察に対するシニカルなユーモアを散りばめつつ、複雑にもつれ合う国情やしがらみを断ち、自ら新たな人生へと踏み出す花嫁の晴れやかな表情が、清々しいカタルシスを生む。
(映画評論家・服部香穂里)
概要 「イスラエル/シリア国境とドゥルーズの人々」 解説:錦田愛子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・助教)
主人公のモナを含むドゥルーズの人々は、レバノン、シリア、イスラエル北部などに住むイスラーム教の少数派である。映画の舞台となる国境地帯のゴラン高原は、イスラエルとシリアが領有権を主張しあう係争地であり、境界線の両側にドゥルーズの親族が分断されて住んでいる。婚姻は同じドゥルーズの間で行われるのが基本で、異教徒との婚姻は忌避される。彼らはイスラエル国内でもマイノリティであり、無国籍としてレセパセ(一時旅券)の発行を受ける。ゴラン高原のイスラエル側では親シリア意識の強い人々も多く、シリアのアサド大統領を支持するデモが作中に登場する。彼らは特例措置として結婚の際にシリアへ入国できるが、両国間には国交はないため、シリアへ渡った花嫁はイスラエルへの再入国を許されない。特殊で不安定な法的身分による結末が、本作を通して描かれている。


「包摂と自律の人間学ー国境と民族を越えてー」 国立民族学博物館 陳 天璽
地球人口が68億人である今日、生地を離れ他国に暮らす移民は2億人に上がり、全人口の約30人に1人にあたります。国境は、人の頻繁な 越境や情報化により、その存在が薄まっているように思えます。民族間の交流や国際結婚も増え、人を民族や国籍別に区別することも難しくなっています。しかし、現代社会は国家や民族、宗教によって人を分類するきらいがあるのも事実です。それゆえ、はざまにおかれ苦悩を抱えながら生きている人は少なくありません。人の違いを認めて包摂し、移民や無国籍者など社会的マイノリティーが自分らしさを生かして自律できる社会を実現するには、どうすればよいのでしょうか。映画に描かれる一人一人の生き様を通して、国家とは、国籍とは、民族とはなにかについて考え、国境を越えた人と人のつながり、支援のありかたを模索します。
参加費 参加料:無料(ただし、本館展示をご覧になる方は別途観覧料が必要です。)
対象 -
言語 -
連絡先 ■お問い合せ先
国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
Tel: 06-6878-8210(平日9:00~17:00)
URL http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/movies1005.html
その他 国立民族学博物館では2009年秋から開始した機関研究<包摂と自律の人間学>のテーマにあわせて、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を始めました。第2期にあたる2010年は、さらに<国境と民族>をキーワードにして、映画上映を展開していきます。第1弾はイスラエルとシリア国境とドゥルーズの人々を描いた「シリアの花嫁」です。理不尽な状況に置かれているドゥルーズの結婚式の一日を通して、国境という境界線で分断されている民族について、皆さんと考えたいと思います。