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学会連携「日本南アジア学会第24回全国大会におけるJCAS加盟組織共同による複数のセッション企画」

日本南アジア学会
第24回全国大会におけるJCAS加盟組織共同による複数のセッション企画

開催期日
2011年10月1日(土)~2日(日)

企画責任者の氏名(所属先・職名)
秋田茂(大阪大学文学研究科・教授)

企画の概要
【テーマ別セッション】Migration History around the Indian Ocean World since the Seventeenth CenturyおよびReorganization of states in India、19世紀後半から20世紀初頭の地域社会におけるマールワーリー・プレゼンス、など。
【共通論題】「イスラーム的世界としての南アジア―接触領域のダイナミズム」

 日本南アジア学会は、南アジア地域を研究対象とする異なるディシプリンの研究者で構成されており、わが国の南アジア地域研究をリードする学会として常に先端的な研究成果を発表してきた。本学会会員の多くは、インド学、人類学、言語学、政治学、経済学、地理学、文学、歴史学、など各ディシプリンを基盤とする諸学会に所属しつつ、地域研究を進める本学会において、異なるディシプリンによる研究成果の連携や交流を図ってきた。今般、日本南アジア学会の第24回全国大会において、テーマ別セッションおよび共通論題において、JCAS加盟組織の新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科、大阪大学グローバルコラボレーションセンター、大阪大学世界言語研究センターなどに所属する研究者による発表が企画されている。Migration Historyのセッションでは、17世紀以降のインド洋世界の人の移動に関し、カナダのマギル大学からGwyn Campbell教授を招き、日本人研究者の実証研究(17、19世紀を中心としたオランダ東インド会社のインド人奴隷貿易とその東・東南アジアへの流入、18、19世紀の西インド洋地域のバニヤ商人の活動、18世紀以降のコロンボにおける移住タミル人研究)との接合をなどについて報告する。本セッションは、グローバルヒストリー研究と南アジア研究との接合、接点を学際的に考察する効果を企図している。また、Reorganization of states in Indiaのセッションでは、シンガポール大学のGyanesh Kudaisya准教授を招き、日本人研究者3名とともにインドの地域レベルでの政治的変容を考察する。上記セッションはいずれも英語で行われる。また「マールワーリー・プレゼンス」のセッションでは、マールワーリーと呼ばれるインド西部出身の商人が、自ら得た富の消費方法や、彼らが建築した邸宅の特徴、あるいは彼らを特集したヒンディー語雑誌を分析するなど、多角的な視点から考察を行う。共通論題では、小杉泰・前日本中東学会会長をコメンテイターに招き、イスラームの接触領域としての南アジア像に関する人類学(外来のユーナーニー医学の再興とヒンドゥーとの連携)、歴史学(近代以前の北インドを中心としたムスリムの人口増加)、経済学(南アジアにおけるムスリム財閥の形成と発展過程)、文学(ベンガルにおけるムスリムの歌謡分析)等の研究成果に対し、対象地域が異なるイスラーム研究者の視点からの議論を得ることで、南アジア像を浮かび上がらせようとするもので、これまでの学会の枠組みを超えようとする意欲的な企画である。このように、今般の本学会の全国大会は、学会の枠組みを超えた学術交流によって、学会活動の更なる展開を企図しており、このことは、地域研究の進展に大きく貢献するものと確信している。