JCAS:TOPページ > JCAS社会連携プロジェクト「女性地域研究者のライフ・キャリアネットワークプロジェクト」
社会連携部会では、地域研究コンソーシアム(JCAS)の加盟組織(または加盟組織に所属する個人やグループ)が行っている地域研究の社会連携活動を「JCAS社会連携プロジェクト」として紹介しています。JCAS社会連携部会プロジェクトについては社会連携部会のページをご覧ください。 |
プロジェクト幹事: 王柳蘭(白眉センター特定准教授/京都大学地域研究統合情報センター)
プロジェクト期間: 2012年度から継続中
多様化する女性地域研究者のニーズに応じた心地よい研究環境づくりやキャリア(多様な仕事とその経験)とライフ(命、人生、生活)の両立・充実を図るうえで、女性地域研究者間のネットワーク構築は不可欠である。本プロジェクトでは、女性地域研究者間の世代間コミュニケーションや相互支援と情報交換のネットワークに注目し、当事者の具体的な経験を通して、女性の潜在的な能力や可能性を引き出し、キャリアとライフの充実、質的向上、女性間の相互支援となるプラットフォームを作ることを目的とする。とりわけ、女性地域研究者がライフとキャリアの双方の確立を図る上で、個別の経験を共有することの意義や、ライフとキャリアを対置させないあり方について考える。
女性の社会進出、男女平等意識などによる啓発事業によって、女性地域研究者の置かれた環境はしだいに改善されている。こうした研究環境の改善と支援制度は、これまでおもに行政や大学といった上位の支援機関が主体となって行ってきた。その結果、個々の女性地域研究者は、さまざまな支援制度を利用しながら、自助努力によって自らの研究基盤を整えることができた。しかしその反面、支援を必要としている者どうしの横の繋がりは十分には形成されてこなかった。また、社会進出の結果、すぐれた女性地域研究者が分野を問わず数多く輩出されている現実にも関わらず、身近に気軽にフェイストゥフェイスで相談できる先輩女性研究者やロールモデルとなる女性研究者は意外と少ない。その結果、若手研究者の間には人生と研究についての葛藤を処理しきれずに精神的に追い詰められ、自分の置かれた境遇を長期的なスパンで捉えなおす余裕を失い、孤立化し、時には命を絶ってしまうケースもある。
また、若い女性研究者にとって、とりわけ20代から30代は、出産の適齢期と重なる。そのため、院生時代を通じて研究を継続しながら、いつ結婚し、いつ出産するのか、果たして出産と研究は両立できるのかどうか、といった人生においてクリティカルな問題に直面し、大いに悩む時期を経験する。そのため、この時期には学業的な支援のみならず、精神的な支援がもっとも必要となる。
本研究では、女性のライフ(命、人生、生活)と多様なキャリア(仕事経験)を対置させることなく、繋がりのなかでその充実感をみいだし、さらに女性研究者間の交流、とりわけ、世代の違う女性研究者どうしの交わりを目的とし、その交流を通じて、女性の潜在的な能力や可能性を引き出し、キャリアとライフの充実、質的向上、女性間の相互支援となるプラットフォームを作る。とりわけ、先輩女性研究者との交流は幅広い視点から人生、研究をみつめなおす機会になり、いわゆる啓発的な支援事業とは異なった、より身近で頼りになる精神的なサポートとネットワークを生み出すことができると思われる。
研究代表者が所属する京都大学を中心にして、女性地域研究者間のネットワークづくりをめざす。その際、退職した女性地域研究者、教授クラスから中堅・若手女性研究者、女子院生間の世代間相互交流をめざす。具体的には、懇話会・茶話会、ネットでの情報配信を試みる。
(1)懇話会・茶話会
・年度内に3回、女性地域研究者を毎回2名招へいし、茶話会・懇談会を開催する。
・懇話会では、研究者の仕事・研究内容などの紹介を踏まえ、修士や博士修了後の進路とキャリア構築、研究者としての歩みを振り返りつつ、人生おりおりの悩みや喜び、進路選択時における指針や葛藤、育児、介護などについての話題を依頼する。
・茶話会では、研究、キャリアパス、育児と研究の両立など、女性地域研究者間の情報交換や相互啓発の場を提供する。
(2)アンケート
アンケートを実施し、多様なニーズに応じた支援のあり方を探り、それらの意見をまとめる。
(3)ウェブサイト立ち上げ
本研究のウェブサイトを立ち上げ、女性研究者の履歴書シリーズ(日経新聞のような)、茶話会・懇話会の記録を掲載する。
2012.7.19 | 第1回Lunch & Learn の集い:先輩女性フィールドワーカーと交流しよう!
第1回は、ランチやお茶菓子を食べながら、フィールドワークとその後の研究にまつわる疑問、難問、育児や家族との関わりなどについて、女子フィールドワーカーが集ってお互いに情報交換しながら親睦のひとときを楽しみたいと思います。女性でしたらどなたでも参加可能です。ぜひおひとりでも、友達をおさそいのうえでも、お気軽にご参加ください。 |
2012.11.28 | 第2回 Lunch & Learn の集い:先輩女性フィールドワーカーと交流しよう!小松かおりさんを囲んで アフリカと沖縄を中心にフィールドワークを展開中の小松かおりさんに話題提供していただき、ランチを食べながら、フィールドワークについて語り合ってみませんか?みんな研究を続けるなかで何にぶつかり、何を乗り越えてきたのでしょうか?そんな思いも交わりのなかで模索できればいいなと思います。 |
2013.1.22 | 異業種異分野意見交流会
日時:2013・1・22(火)13:00-16:00 |
2013.2.8 | 研究支援:日本学術振興会特別研究員RPD(リスタートPD)対策会
日時:2013・2・8(金)13:00-15:00 |
2013.2.22 | 第3回:女性地域研究者と世代間交流-先輩女性フィールドワーカーと交流しよう!企画(新島渓子先生)
日時:2014・2・22(金)15:00-17:00 |
2014.2.20 | 第3回Lunch & Learnの集い:先輩女性フィールドワーカーと交流しよう!
「インドとの出会い:『世代』の持つ意味」(押川文子先生)
日時:2014・2・20(木)12:00-13:00 |
2014.9.5~14 | 抵抗と解放の身体―ブラジル伝統芸能「カポエィラ」による対話と実践―(企画:アンドレア百合 フロレス漆間、都留 恵美里) 日時:2014・9・12(金)12:30-13:00、13:30-16:30 |
2014.12.20、2015.2.14 | 異分野横断型「生きづらさ学」旗揚げワークショップ 【第一部】(ワークショップ) ●日時:平成26年12月20日(土) 13:30~16:30(一般公開) 趣旨:新学問領域「生きづらさ学」の創設に向け、 [司会:渡邉皓子(学術研究支援室)] ————————————————————————————————————————- ●日時:平成27年2月14日(土) 13:30~16:30 |
2016.3.1 | 第4回Lunch & Learn の集い:先輩フィールドワーカーと交流しよう!会 「女性・生きがい・仕事―わたしの選択」塩谷暁代さん(アフリカ地域研究資料センター特任助教) ●日時:2016年3月1日(火)12:10~13:30 (途中入退室OK) 4人の子の母であり、京都に単身赴任をしながらカメルーンのフィールドワークにも積極的に出かけている研究者の塩谷暁代さんを迎え、その経験について話をしていただきました。そのあとは、参加者もまじえ、女性のいきがい、仕事、家庭について話は盛り上がりました。 |
2016.12.8 | 第5回Lunch & Learn の集い:先輩フィールドワーカーと交流しよう!会 「妻と子から学んだこと:人類生態学者の家庭内フィールドワーク」古澤拓郎さん(ASAFAS東南アジア地域研究専攻・准教授) ●日時:2016年12月8日(木)12:00~13:00予定 (途中入退室OK) 古澤先生が、子育て経験を家庭内フィールドワークにみたて、その学びを共有してくださいます。奮ってご参加ください。申し込みはいりません。ランチ持参推奨です。 |
王柳蘭(京都大学白眉センター・地域研究統合情報センター・特定准教授)
平野美佐(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
押川文子(京都大学地域研究統合情報センター・教授)
速水洋子(京都大学東南アジア研究所・教授)
近藤史(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・助教)
Andrea Yuri Flores Urushima(京都大学地域研究統合情報センター・研究員)