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JCAS社会連携プロジェクト「災害対応の地域研究」プロジェクト

社会連携部会では、地域研究コンソーシアム(JCAS)の加盟組織(または加盟組織に所属する個人やグループ)が行っている地域研究の社会連携活動を「JCAS社会連携プロジェクト」として紹介しています。JCAS社会連携部会プロジェクトについては社会連携部会のページをご覧ください。

プロジェクト幹事:
 山本博之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
 西芳実(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)

プロジェクト期間: 2004年度~
(2004年度から2009年度までは、「研究・教育=NGO/NPO人材交流プロジェクト」と合同で社会連携研究会として活動していました。2009年度までの活動については「研究・教育=NGO/NPO人材交流プロジェクト」のページもご覧ください。)

災害対応の地域研究

災害は、平常時から切り離された特別な時間・空間ではなく、その社会が平常時に抱える潜在的な課題が極端な形であらわれている状態です。したがって、災害からの復興とは、被災前の状態に戻すことではなく、被災を契機に明らかになった社会の課題に働きかけ、よりよい社会をつくることです。そのような創造的復興を可能にするためには、災害による被害を物理的に抑え込みさえすればよいと考えるのではなく、災害が発生したときに社会が柔軟に対応するという社会の強靭性を高めることが大切です。また、被災社会が被災前にどのような状況にあり、どのような課題を抱えていたかを知る必要があります。「災害対応の地域研究」の意義はここにあります。

自然災害が起こると国境を越えて人道支援を行うことが一般的となった今日、災害対応の現場では地域の事情に根差した防災や復興が求められており、地域研究の知見はますます重要となっています。他方で、従来の地域研究は、特定地域の固有性を解明することに重きを置くあまり、その知見を地域や時代を越えて他の専門家に利用可能な形で発表することにあまり力を注いできませんでした。「災害対応の地域研究」では、災害対応の現場での防災・人道支援の実務者との連携や、近年進展が著しい情報技術の利用などにより、異業種・異分野の専門家に開かれた「地域の知」をめざします。

活動内容(2010年10月以降)

2012.05.12 ワークショップ「タイ洪水が映すタイ社会―災害対応から考える社会のかたち」
「災害対応の地域研究」プロジェクトとの共催によりワークショップ「タイ洪水が映すタイ社会―災害対応から考える社会のかたち」[詳細情報]を開催し、水管理やバンコクの洪水対策史における位置づけ、バンコク居住者の生活への影響、タイ政府の対応の3つの観点から2011年のタイ洪水の諸相を検討し、さらに、災害対応を直接の専門としないタイ地域研究者やタイ以外を対象とする地域研究者を交えて、それぞれの専門の立場から、タイの災害対応にあらわれるタイ社会のかたちについて検討した。
2011.11.05 シンポジウム「『情報災害』からの復興―地域の専門家は震災にどう対応するか」
2011年度のJCAS年次集会シンポジウム「『情報災害』からの復興―地域の専門家は震災にどう対応するか」[詳細情報]の企画に参加し、第2部の運営を担当した。
シンポジウムの内容はJCASコラボレーション・シリーズ第4号として刊行された。
2011.07.20 国際人道支援による東日本大震災の救援・復興支援
「災害対応の地域研究」ワークショップ
2011.05.22 東日本大震災を考える―スマトラの経験を踏まえて
「災害対応の地域研究」ワークショップ
2011.10-
2012.03
出張講義「〈カタストロフィ〉を生きる―地域文化研究から見る災いの経験」
前年度に引き続き、JCAS共同企画講義プログラムにより、災害対応の地域研究に関する講師陣を組織し、東京大学教養学部で出張講義を行った。[詳細情報]
2010.10-
2011.03
出張講義「地域文化研究から見る災害と復興支援」
JCAS共同企画講義プログラムにより、災害対応の地域研究に関する講師陣を組織し、東京大学教養学部で出張講義を行った。[詳細情報]

活動内容(2010年9月以前)

シンポジウム・学会パネル

2010.06.07 「学術研究と人道支援―2009年西スマトラ地震で壊れたもの・つくられるもの」
東南アジア学会第83回研究大会パネル
2009.11.25 「支援の現場と研究をつなぐ―2009年西スマトラ地震におけるジェンダー、コミュニティ、情報」
東南アジア学会主催緊急研究集会
2008.12.22 「開かれた社会への支援をめざして―インドネシア・アチェ地震津波支援に対する学際調査より」
文部科学省・世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業「人道支援に対する地域研究からの国際協力と評価―被災社会との共生を実現する復興・開発を目指して」公開シンポジウム
2008.10.12 「アジアにおける自然災害と政治経済変動」
2008年度アジア政経学会全国大会共通論題1
2005.12.18 「2004 年スマトラ沖地震・津波に見るさまざまな支援のかたち―大規模自然災害における地域研究者の役割を考える」
日本マレーシア研究会第14回研究大会シンポジウム
2005.04.09 「緊急支援から地域再興へ―インド洋地震・津波災害と地域社会」
地域研究コンソーシアム緊急研究集会

公開ワークショップ

2009.11.21 「古都の震災―2009年9月西スマトラ地震で壊れなかったもの」
「災害対応の地域研究」ワークショップ
2009.09.26 「インドネシアにおける地震防災・復興研究への総合的アプローチ―2009年西ジャワ地震の事例から」
「災害対応の地域研究」ワークショップ
2009.01.19 「災害対応の地域研究―2008年ミャンマー・サイクロン被害の事例から」
「災害対応の地域研究」ワークショップ
2006.07.17 「地域研究者は被災社会に対して何ができるのか?―スマトラ沖地震・津波災害、パキスタン北部地震、ジャワ島中部地震に対する地域情報発信の経験を通じて」
JCAS社会連携ワークショップ

人道支援事業の初動調査・事業評価への協力

2010.03.22-26 ジャパン・プラットフォーム「スマトラ島西部パダン沖地震支援事業」モニタリング調査
山本博之
2007.09.14-20 ジャパン・プラットフォーム「スマトラ島南西沖地震」初動調査
山本博之・西芳実
2005.08.04-17 ピースウィンズ・ジャパン「スマトラ島北部アチェ州における被災民支援事業」外部調査
山本博之・西芳実・篠崎香織

関連刊行物

2012.03 上野稔弘・西芳実・山本博之編『「情報災害」からの復興―地域の専門家は震災にどう対応するか』(JCASコラボレーション・シリーズ4)
2011年11月に実施されたJCAS年次集会シンポジウム「『情報災害』からの復興―地域の専門家は震災にどう対応するか」の報告書。[詳細目次]
2011.03 「総特集 災害と地域研究」(『地域研究』第11巻第2号)
「災害対応の地域研究」プロジェクトによる研究成果の中間報告として2011年3月に刊行された特集企画。[詳細目次]
2010.12 西芳実・山本博之編『学術研究と人道支援――2009年西スマトラ地震で壊れたもの・つくられるもの』(「災害対応の地域研究」シリーズ2)
2010年6月に実施された東南アジア学会研究大会パネル「学術研究と人道支援――2009年西スマトラ地震で壊れたもの・つくられるもの」の報告書。
2010.03 山本博之編著『支援の現場と研究をつなぐ―2009年西スマトラ地震におけるジェンダー、コミュニティ、情報』(「災害対応の地域研究」シリーズ1)
2009年11月に実施された東南アジア学会緊急研究集会「支援の現場と研究をつなぐ―2009年西スマトラ地震におけるジェンダー、コミュニティ、情報」の報告書。
2009.03 中村安秀・山本博之編『開かれた社会への支援を求めて―アチェ地震津波支援学際調査』(「共生人道支援」研究班報告書)
文部科学省・生態を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業「人道支援に対する地域研究からの国際協力と評価―被災社会との共生を実現する復興・開発をめざして」との合同により2008年8月に実施したインドネシア共和国アチェ州での学際調査の報告書。